農業情報研究センター

インキュベーションラボ施設の利用について

スマート農業研究を加速化する革新的研究基盤

NAROインキュベーションラボとは?

「NAROインキュベーションラボ」は、農業の未来を切り拓くための先端技術と研究環境を融合した実証・開発拠点です。AI解析と人工作物環境制御を組み合わせ、気候変動や食料問題などの社会課題に対応する新たな品種・栽培技術の迅速な開発を支援します。

主な特徴と機能

高精度な環境再現

  • 温度、湿度、光、CO2濃度などを精密に制御可能
  • 過去・未来の気象条件を再現し、実験の再現性と信頼性を向上

AI × センシング技術

  • 作物を生理状態を明らかにするための各種センシング機器
  • AIと組み合わせた作物形質の高精度予測技術の開発

多様な研究協力

  • 品種育成、栽培技術開発、気候変動対応など、幅広い研究課題に協力
  • 実証データをもとに、スマート農業の社会実装を加速

主な設備・機器類

高精度人工気象室

型式 室数 温度範囲 湿度範囲 CO2濃度 光量
R1型 15室 0~40°C 50~90% ~3000ppm ≧500 μmol/m2/s
R2型 2室 -10~60°C 20~90% 同上 ≧1000 μmol/m2/s
R3型(標準) 2室 15~32°C 50~90% 同上 同上
R3型(高性能) 2室 5~35°C 40~90% 同上 同上
R6型(高性能) 4室 5~40°C 40~90% 同上 同上+独立2光源
人工気象室の外観(R6型)

センシング機器類

  • 光合成関連形質を測定するためのポロメーター/クロロフィル蛍光測定メーター、光合成速度高速測定装置、土壌環境可視化装置、土壌水分センサーなど

活用事例:イチゴのJIT生産

  • AIとロボットによる開花・果実検出
  • 高精度な収穫日予測により、需要期に合わせた出荷が可能
  • 収穫ピークの誤差を+1日まで補正し、経営効率化に貢献
  • プレスリリース:(研究成果) イチゴのジャストインタイム生産に向けた収穫日の精密予測・制御技術を開発 - 需要に合わせた収穫時期の調整により安定出荷に寄与 -(2023年2月13日)
  • 活用事例:未来環境下での水稲生育評価

  • 高機能型人工気象室「栽培環境エミュレータ」を用いて、21世紀末(2100年)の高温・高CO2環境を再現
  • 高温・高CO2条件下では、開花まで日数の短縮及び白未熟粒の発生による品質低下を確認
  • 本成果は、温暖化に適応する品種育成や栽培技術開発の加速に貢献
  • プレスリリース:(研究成果) 高機能型人工気象室を用いて未来環境が水稲に与える影響の一端を明らかに(2024年6月25日)
  • 資金提供型共同研究について

    インキュベーションラボでは、本施設・機器のご利用を希望する皆さまからの資金提供型共同研究を積極的に受け入れています。農業の課題解決に向けた技術開発を、ぜひご一緒に進めましょう。